「聴く」「話す」意識が研ぎ澄まされていく実習。(1/2)
[前田泰宏 教授]
会話の奥深さに気付く
心理学実習室において、学生たちは3人一組となって、先生の指示を待っている。
「3人はそれぞれ話し手、聞き手、観察者になってください。話し手は最近起こったことを思い出して話してください。聞き手は、話しての話を、『〜ので、〜だったのですね』と確認しながら聞いてください。そして、観察者は話し手の表情や動作を観察してください」
学生たちは興味津々である。最初はおずおずと話しだした話し手もだんだん熱が入ってくる。聞き手も受け答えに力が入る。実習室は学生たちの話し声でいっぱいになった。
おもむろに先生がストップをかける。
「聞き手の人は話し手の話を聞いて、どう感じたか話してください。話し手の人は聞き手の人にどう伝わったかを話してください。そして観察者の人は思ったことではなく2人の会話について観察したことを2人に伝えてください」
一生懸命話したことが、伝わらなかったり、熱心に聞いているのに、そうは見えなかったり。普段、誰でも普通に話している「会話」だが、話すこと、聴くことがこれほど奥深いとは。学生たちは、コミュニケーションの不思議に気が付いたようだった。
この実習は3人の役割を変えて時間いっぱい続けられる。