採点基準について
問題1については、(1) アメリカ合衆国とブラジルとの比較になっているか、(2) 奴隷制の違いについて言及されているか、の2点を基本的な採点基準とし、より深く考察されているものについては加点しました。
問題2については、(1) ヨーロッパ諸国によるアフリカ分割支配について言及されているか、(2) 現在の状況について、アフリカに関してだけではなく、ヨーロッパについても言及されているか、の2点を基本的な採点基準とし、より深く考察されているものについては加点しました。特に(2)については旧植民地からの移民問題や、現在のヨーロッパ経済の大きな部分を旧植民地からの経済的関係によって成り立っている点など、具体的な記述があるものを高く評価しました。
問題3についてはかなり自由度の高い設問ですので、「民族と文化の関係」というテーマを逸脱していない限りは内容に応じて点を与えましたが、(1) 文化とは何か、(2) どうして民族と文化が関連づけられるのか、(3) 文化という観点から、民族とは何か、ということについて具体的な言及があるものを高く評価しました。また、それ以外にも内容的に優れているものについては加点しました。
問題4は「民族問題」について自由に論じなさい、という設問ですから、まさに自由に論じてもらえればよいわけで、授業の内容に即していても居なくても、論理的に破綻していないものについては得点の対象としました。その中でも、授業の内容を批判的に再検討しているものや、授業の内容を踏まえた上で、別の事例などに言及しているものについては特に加点の対象としました。
講評
(1) 無記入が多い
「自由に論じなさい」という設問に対して無記入というのは、どうなんでしょうか。白紙では採点のしようがありません。特にこの講義は「講義としての正解はあっても、『真実』という意味での正解は明らかでない」わけですから、常識的な関連性さえ見いだせれば、どんなことを書いても評価の対象になる、ということははっきりしています。何でもネタになったのではないでしょうか。たとえ1行でも2行でも、何か書いておいて欲しかったと想います。
(2) 優秀な答案が多かった
特に問題4については私としても考えさせられる答案が少なくありませんでした。皆さんが身近に経験されたいろいろな問題と、授業の文脈とがうまく結びつけられている答案がいくつかあり、なかなかやるもんだと感心させられました。逆に、問題4については堅実な答案も少なくなかったと思います。「自由に」という設問なのですが、授業の内容に沿い過ぎてしまっている、というタイプの答案です。もちろんそれはそれで間違いではありませんから減点の対象にはなりませんが、「自由に」という設問はいわばみなさんのアピールのしどころなので、少し冒険してみてもよかったのではないかなと思いました。
総合評価について
今回、試験の成績は90点なのに、レポートの提出数がゼロで、54点で不可になる、という学生がいました。これは極端な例ですが、他にも似たような人がちらほらといます。理不尽だと思う人もいて当然だと思いますが、毎回、レポートを課しているのには最初の授業で説明したとおり、理由があります。この授業には「万人が納得する正解」はありません。それぞれの事例について、どのように理論的に解釈するか、ということについては、どんな立場からどんな理論に基づいて解釈するか、ということによって異なる結論が導き出されます。だからこそ、毎回のテーマについてしっかり考えてもらいたいわけで、それは「試験」とは異なる評価です。そしてこの講義は、その両方があって初めて成立する、ということで、配分がレポート4割、試験6割、となっているわけです。
成績表には総合得点が載りますので、試験の得点を開示して欲しいという人は、ご遠慮なく中原まで連絡してください。
まとめ
この授業は、出来るだけみなさんが「知らない」であろう事例や、よくご存じだと思われる事例の「別の側面」を紹介しつつ、なぜそのようなことになってしまったのか、これからどうなるのか、どうしていくのかを理論的に考察する、という目標を掲げていました。どちらかというと事例を紹介するところに重点がおかれ、理論的な説明が不十分であるという反省もありますが、みなさんはどうお感じになったでしょうか。
世間で「ある」と言われているからと言って、それは「ある」とは限らないし、「知らない」からといって「無い」とは限らない。何でも「そーなんだー」と聞くのではなく、「ん?ほんとに?ちょっと調べてみよう」という態度がもうちょっと我々には必要なのではないか、といったあたりを学び取っていただけていれば幸いです。










